ここまででCellがヘテロジニアス・マルチコアプロセッサであり、制御系プロセッサコアと演算系プロセッサコアで得意とする処理が異なるということを解説しました。ここからは実際にCellがどのような物理構成になっているかについて解説します。
Cellプロセッサの構成概要を 図 1.1 に示します。
Cellは、1基の制御系プロセッサコア (PPE) と8基の演算系プロセッサコア (SPE) で構成されます。各プロセッサコアは、EIB (Element Interconnect Bus) と呼ばれる高速なバスで接続されています。また、EIBはメインメモリや外部入出力デバイスとも接続されていて、各プロセッサコアはEIBを経由してデータアクセスをおこないます。
それでは、各プロセッサコアの中身について見ていくことにしましょう。
Cellは、PPEと呼ばれるプロセッサコアを1基搭載しています.。PPEは,64ビットPowerPCアーキテクチャと同等の機能を有した汎用プロセッサであり、従来のプロセッサと同様にオペレーティング・システムやアプリケーションの実行がおこなえます。また、オペレーティング・システムの役割であるメインメモリや外部デバイスへの入出力制御に加えて、SPEを制御する役割も担っています。このように、PPEは処理の制御を主におこなうため「制御系プロセッサ」ともいえます。
PPEの構成要素を 図 1.2 に示します。
(1) PowerPC Processor Unit (PPU)
PPUは、PPEの演算処理をおこなう核となるユニットで、PowerPCアーキテクチャをベースとした命令セットを持ちます。また、1次キャッシュとして32KBの命令キャッシュと32KBのデータキャッシュを搭載しています。
(2) PowerPC Processor Storage Subsystem (PPSS)
PPSSは、PPUからメインメモリへのデータアクセスを制御するユニットです。また、PPUからのメモリアクセスを高速化させるために512KBの2次キャッシュを搭載しています。
Cellは、SPEと呼ばれるプロセッサコアを8基搭載しています。SPEは、PPEのような複雑なプログラム制御よりも、計算を単純に繰り返すマルチメディア系の処理を得意とする「演算系プロセッサコア」です。Cellは、この8基のSPEを有効に活用することにより高い計算能力を発揮します。
SPEの構成要素を 図 1.3 に示します。
(1) Synergistic Processor Unit (SPU)
SPUは、SPEの演算処理をおこなう核となるユニットで、各SPE上に搭載されています。SPUは、PPUとは異なる独自の命令セットを持ちます。また、各SPUは、LSと呼ばれる専用メモリを搭載しています。
(2) Local Store (LS)
LSは、各SPUに専用の、容量が256Kバイトのメモリです。また、LSは各SPUから直接参照できる唯一のメモリでもあります。各SPUが、メインメモリや他のSPE上のLSにアクセスするためには、次に解説するMFCと呼ばれるユニットを利用しなくてはいけません。
(3) Memory Flow Controller (MFC)
MFCは、メインメモリや他のSPEなどとデータをやり取りするためのユニットです。また、SPUは、チャネルと呼ばれるインタフェースを介してMFCに対してデータ転送などを依頼します。
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