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1.1 Cell誕生の背景

出典: PS3 Linux Information Site / Cell/B.E.のパワーを体験しよう

 ここではCellの具体的な説明をはじめる前に、CellというCPUが誕生するまでの背景とその特徴について解説します。

1.1.1 マルチコアプロセッサへの流れ

 近年、コンピュータ上で動画や音声を処理するマルチメディア・アプリケーションは、すでに一般的なものになっています。しかし、より高画質な映像、高品質な音声を扱う3Dゲームや動画再生アプリケーションの登場により、CPUは、これまで以上に高速にデータを処理する能力を要求されるようになりました。

 従来は、CPUの性能向上を1基のコア(*)の性能向上のみで実現するという考えのもとで、CPUの開発が行われてきました。しかし、その結果CPUは複雑化して、消費電力の増加、発熱量の増加と高コスト化を招き、以前ほどの性能向上を望めなくなりました。

 そこで、各CPUメーカは更なる性能向上への打開策として、複数のコアで処理を並列実行できるマルチコアCPUの開発へと向かい始めます。

  • コア (もしくはプロセッサコア) … 1セットの演算器、レジスタ、データ回路など、CPUの演算に必要なユニットのことを指します。また、1CPUに1コアの構成を「シングルコア構成」といいます。

1.1.2 Cellが採用したアーキテクチャ

 Cellは、マルチコアCPUのひとつです。マルチコアCPUの構成には、表 1.2に示すように大別して「ホモジニアス・マルチコアプロセッサ構成」と「ヘテロジニアス・マルチコアプロセッサ構成」の2種類があります。

表 1.2 マルチコアCPUの分類

ホモジニアス・マルチコアプロセッサ構成 ヘテロジニアス・マルチコアプロセッサ構成
画像:TABLE-01-01-1.png 画像:TABLE-01-01-2.png
1CPU上に同じ種類のコアを複数搭載した構成 1CPU上に異なる種類のコアを複数搭載した構成

 2つの構成のうち、Cellは「ヘテロジニアス・マルチコアプロセッサ構成」を採用しました。Cellは、各プロセッサコア単体の処理性能を維持し、かつ徹底的にシンプルな構成にするために、あらゆる用途 (アプリケーション) に対応した1種類のコアを用意するのではなく、用途にある程度最適化された異なるコアを2種類用意しました。1つは、オペレーティング・システムのような頻繁なスレッド切り替えなどを得意とする大型の制御系プロセッサコアで、もう1つは、マルチメディア系の処理を得意とするシンプルで小型の演算系プロセッサコアです。

 そして、Cellの高い計算能力を引き出すためには、この異なる2種類のプロセッサコアを用途にあわせて適切に使い分けるように、プログラマ自身が考慮する必要がでてきました。



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